線香に火をつける。
「今、誰と暮らしてる?」
「おじいちゃん」
「…元気なの?」
「元気だよ‼︎墓地(ここ)は坂が急だから留守番してもらったんだよ。だから大丈夫‼︎」
 無理に笑ってる様に見えた。

 線香を手で仰ぎ、ちんちくりんが置いた線香に重ねた。
 手を合わせ、目を閉じる。

「…卒業した後はどうするの?」
「え⁈えー…勉強そんなに得意じゃないし、進学はないかな?ちゃんと考えないとダメだよね‼︎いつか一人に…」
 ちんちくりんが口元を抑えて黙った。

「ごめん‼︎違う。そんなつもりで…」
「大丈夫、気にしないで‼︎そうだなー…ははッ」

 俺はちんちくりんを抱きしめた。
「中道くん…」
 俺が泣いてどうするんだよ。
 何で俺が泣くんだよ?

 涙が止まらなかった。

「ごめん…」
 小さな手が俺の背中を優しく撫でていた。