10月三週目の週末、祖父の少し早めの三回忌の法要で墓地に来ていた。
そこで、同じ制服姿のちんちくりんに会った。
「え…何で?」
「あぁ、ははッ。偶然だね…」
いつもみたいににっこり笑っていた。
「義孝?」
「あぁ、先行って」
親や親戚を先に行かせ、俺はちんちくりんに聞いた。
「一人?」
「あ、うん。そう」
「墓参り?」
「…両親の、七回忌」
「え?」
「よく分からないから、お参りだけしようと思って…」
俺は続く言葉を出せずにいた。
嘘だろ?こんなに明るいのにまさか両親を亡くしてるなんて…。
「ゴメン。気にしないで」
抱えた花束で顔を隠す様にしてちんちくりんは笑った。
「手伝う…」
「え?」
「水、持ってくる」
俺は急いで水桶を取りに行き、水を溜めてちんちくりんの所に戻った。
「中道くん、法事行かないと…」
「たくさんいるから、俺一人減っても大丈夫」
「…ありがとう」
板垣家と書かれた墓石を二人で丁寧に磨く。
側面の二番目に刻まれた名前に見覚えがあった。
「板垣…春人」
「私の、お父さん」
「…春花」
「お母さん」
「…」
「中道くんが入学式の挨拶の時に、お父さんが書いた本の一文を使ってくれて、すごく嬉しかったよ」
「あの時、それを言いに…?」
「あぁ、ははッ。何か振られちゃったよね…私」
そう言って苦笑いする。
「ゴメン。最低最悪な勘違い…」
俺を好きなわけじゃ、なかったんだ…。
「気にしないで」
花を生けながらちんちくりんは笑った。
それからこう言った。
「あの時、最後まで言えなかったけど…ありがとう。嬉しかった」
袋からペットボトルを三本出して並べる。
線香に火をつけ、手のひらで仰ぐ。
目を閉じて、手を合わせる。
俺はちんちくりんを見つめていた。
「クジラみたいな雲見て泣いてたのって…」
「最後の、思い出…」
そう言ってにっこり笑った。
目に涙をたくさん溜めて…。
俺は横にしゃがんでちんちくりんの頭を撫でた。
そこで、同じ制服姿のちんちくりんに会った。
「え…何で?」
「あぁ、ははッ。偶然だね…」
いつもみたいににっこり笑っていた。
「義孝?」
「あぁ、先行って」
親や親戚を先に行かせ、俺はちんちくりんに聞いた。
「一人?」
「あ、うん。そう」
「墓参り?」
「…両親の、七回忌」
「え?」
「よく分からないから、お参りだけしようと思って…」
俺は続く言葉を出せずにいた。
嘘だろ?こんなに明るいのにまさか両親を亡くしてるなんて…。
「ゴメン。気にしないで」
抱えた花束で顔を隠す様にしてちんちくりんは笑った。
「手伝う…」
「え?」
「水、持ってくる」
俺は急いで水桶を取りに行き、水を溜めてちんちくりんの所に戻った。
「中道くん、法事行かないと…」
「たくさんいるから、俺一人減っても大丈夫」
「…ありがとう」
板垣家と書かれた墓石を二人で丁寧に磨く。
側面の二番目に刻まれた名前に見覚えがあった。
「板垣…春人」
「私の、お父さん」
「…春花」
「お母さん」
「…」
「中道くんが入学式の挨拶の時に、お父さんが書いた本の一文を使ってくれて、すごく嬉しかったよ」
「あの時、それを言いに…?」
「あぁ、ははッ。何か振られちゃったよね…私」
そう言って苦笑いする。
「ゴメン。最低最悪な勘違い…」
俺を好きなわけじゃ、なかったんだ…。
「気にしないで」
花を生けながらちんちくりんは笑った。
それからこう言った。
「あの時、最後まで言えなかったけど…ありがとう。嬉しかった」
袋からペットボトルを三本出して並べる。
線香に火をつけ、手のひらで仰ぐ。
目を閉じて、手を合わせる。
俺はちんちくりんを見つめていた。
「クジラみたいな雲見て泣いてたのって…」
「最後の、思い出…」
そう言ってにっこり笑った。
目に涙をたくさん溜めて…。
俺は横にしゃがんでちんちくりんの頭を撫でた。


