瞬く間に過ぎて行く日常こそが青春なんだ

「支援団体とも組んで、他の同年代のヤツらと変わらない当たり前の毎日を過ごせる様に…やってみる。やってみたい‼︎だから樹里、実験台になれ」
「はぁー?何だよ実験台って」
「今しか見れないものを見ろ」
「…」
「今しかできない事をしろ」
「…」
「もう、何も諦めなくていいから…」
「……は?」

 歪んだ顔を隠す様に樹里は下を向いた。
 ボタボタ落ちる涙を見て芽吹が樹里を抱きしめた。

 俺は思わず樹里の頭を(はた)いた。
「ってーなアホか‼︎」
 そう言って樹里は笑った。
 その顔を見て、俺はまた泣きそうになった。

「とりあえず勉強しろ‼︎二次募集に願書出すぞ」
「マジかよ…」
「私、分からないところあれば教えるよ‼︎」
「マジで⁈」
「ダメだ‼︎‼︎」
「何でだよ」
「俺が教える」
「えー…ヤダ」
「ちょっと、義孝くん‼︎」
「芽吹ちゃん助けてー」
「何が『芽吹ちゃん』だ‼︎」
「何なのこの人…」
「あ、お前言っとくけど芽吹の事は諦めろよ‼︎」
「うわー…ウザッ」

 息を潜める様に立っている築数十年の木造アパートの一室が笑い声で満たされた。

 多分、きっと、初めて…。


 しょうもない日常に笑って、泣いて、悩んで、迷って、恋をして

 たくさん青春しろよ…。



END