瞬く間に過ぎて行く日常こそが青春なんだ

 たった一人の身内に見せる優しい笑顔に、堪らず(こぼ)した俺の涙にお前は笑ったけど…

 樹里…

 瞬く間に過ぎて行く日々を、幸せだったと思い返せる未来であって欲しい。

「樹里、高校行けよ」
「は?行かねぇよ。金もねぇし、勉強嫌いだし…。ばあちゃんと…いたいし」
「俺さ、樹里みたいな状況の家族が纏めて暮らせる施設を作ろうと思ってる」
「え⁈」
 樹里より先に芽吹が反応する。可愛い…。
「手ブラでただ会いに来た訳じゃないんだわ」

 俺はここ数日の間に事業企画書を作成していた。
 親の伝手で紹介して貰った介護施設には既に賛同を得ていて、二部屋をテストルームとして提供されている。
 経営難状態の介護施設の空き部屋利用は施設にとっても悪い話ではない。

 協賛企業を探して頭を下げて回ったが、ハッキリ言ってそっちの方は全くもって上手くはいかなかった。
 勉強しかできない無力さが身に染みた。
 当面の資金援助は親父に頼らざるを得ないけど、いずれ入社後は新規事業として自分で提案したいと思っている。

『食事は無料提供。学校に通いながら施設内で無理なくバイトが可能。介護職の資格を取る為のサポート制度有り。希望すれば当社への就職も約束される』

 今の俺には何の力もない。
 偉そうな事言って、結局親に頼るなんて情けない話だと思う。
 とんだ偽善者だと言われても仕方ない。

 それでも俺は、助けたいと思ってしまったんだ…

 樹里に出会ったから。

 芽吹が出会わせてくれたから。