瞬く間に過ぎて行く日常こそが青春なんだ

 数日後、俺は芽吹と一緒に樹里に会いに行った。
 初めからそうしてりゃ良かった…てのは今だから言える事だよな。

 芽吹とギクシャクした時間は勿体なかったけど、無駄じゃなかった。
 すれ違いの日々だって、いつかは優しい思い出に変わる。
 この先俺たちが一緒にいるのなら…。

 とりあえず、樹里が俺に向けた嫉妬の目には気付かないフリをした。

 そんな事だろうと思ってたけどな。

 築数十年の木造アパートでたった一人の身内の祖母を支えながら生きる16歳の少年。

 16歳。
 俺が芽吹に出会い、恋をして、一生をかけて守っていこうと決めた年齢(とし)だ。

 芽吹が俺に出会い、恋をして、大切なたった一人残された身内を失った年齢(とし)だ。

 振り返る日々の思い出は懐かしく温かい。

 出会えたあの日。箱から覗いた目。クジラ雲。涙。傾いた肩車。見送った浴衣姿。抱えた花束。胸の痛み。大好きな笑顔。繋いだ手。並んだ影。どこまでも続く飛行機雲。

 樹里はどうだろうか?想像したら胸が痛んだ。

 もっと早く会いに来れば良かったよな。
 俺には決して分かってやれない。
 どれ程辛い毎日を過ごしてきたのか…。どれ程の事を諦めてきたのか…。どれ程の涙を飲んできたのか…。