瞬く間に過ぎて行く日常こそが青春なんだ

「なぁ、芽吹…」
 二階の廊下で、部屋に入る前の芽吹を呼び止めた。
 いつぶりだろう、まともに向かい合って話すのは…。
「…」
 頼むから、泣かないでくれ…。

「芽吹にはこれからまだ実習もあるし、追加で取らなきゃならない講義もあるだろ?来年は卒論だってある。生活の環境は変えるべきじゃ無いと思うんだ」

 涙を溢しながら真っ直ぐに俺を見つめる芽吹から、俺は目を逸らして俯いた。
「…俺や、親たちに負い目を感じさせてしまっているのかも知れない。けど、せめて卒業までは…ここにいてくれないか?」
「…負い目なんて」
 芽吹が首を横に振る。
「もう親父は芽吹の後見人じゃないけど…無事に卒業すんのを見届けさせてやって欲しい。お前の事は両親(2人)とも本当に大切に思ってるから…。家ならさ、俺が出て行くから…頼むよ」

 それだけ言って俺は部屋に入った。