瞬く間に過ぎて行く日常こそが青春なんだ

「分かってたよな?」
「え…」
「俺が一年で一番大切にしてる日だって、分かってたはずだよな?」
「…」
 驚いた様な表情から、完全に忘れていたのだと分かった。
「自分を犠牲にしてまで助ける程のヤツなのかよ?」
「…犠牲だなんて、そんな」
 芽吹が大きく首を横に振る。
「樹里ってのは俺との約束よりも…俺よりも…優先しなきゃならないヤツなのかよ?」
「違…」
「誰彼構わずいい顔すんなって言っただろ⁈だからそうやって付け込まれて簡単に呼び出されんだよ‼︎他人の芽吹には関係ない事だろ?」
「今さら手を放したりなんてできない‼︎」
「だからそれは別に芽吹じゃなくていいだろって‼︎」
「……義孝くんには分かる訳ないよ」
「はぁ?」
「両親がいて、何不自由なく暮らしてきた義孝くんには分かる訳ない…」

 初めて向けられた芽吹の刺す様な目に涙はない。
「……そうだな」
 偽物の笑顔のキープは5秒が限界だ。

 涙が流れ落ちる前に家を出た。