瞬く間に過ぎて行く日常こそが青春なんだ

 それからまた何度か芽吹の外泊は続いた。
『樹里くんの家に行ってくるね』
『了解』
 本当は了解だなんて思ってもいないのに…。

 学校に行かず年齢を誤魔化して夜の街で働く樹里。
 そいつが留守の間一人きりになる祖母の世話を買って出た芽吹の事を俺は心底優しいと思う。

 思うよ…でも…

 樹里は支援団体を拒絶する。
 樹里は大人を信用しない。
 芽吹の事しか頼らない。

 芽吹の優しいあの手は
 俺だけのものだと思っていた。

「私は保育士じゃなくて児童指導員を目指したい」

 芽吹らしいと思った。

「頑張れ」

 きっと今、芽吹はその第一歩を踏み出している。

 俺にできるのはただ黙って見守る事だけだ。
 ただ黙って。

 俺が我慢すれば良かっただけなんだ…