瞬く間に過ぎて行く日常こそが青春なんだ

 芽吹はいつも通りベッドの上で壁に寄りかかった。
 俺は芽吹の方に向けて椅子に座った。

「俺さ、昨日新宿にいたよ」
 その一言で芽吹は察したらしい。
「あの……」
「大丈夫、信じてるから」
「彼は…樹里(じゅり)くんは、偶然知り合った子で」
「うん」
「おばあちゃんと2人暮らしの…ヤングケアラーで…」
「うん」
「手伝ってあげられる事を自分なりに考えて…あの」
「泊まってたのはその樹里の家だった?」
「…うん」
「支援団体とかあるからさ、紹介してやりなよ。俺が調べてあげるから」
「あの、でも…」
「で?そのヤングケアラーと新宿で何してたわけ?」
「…別に何も」
 芽吹が目を伏せた。
「ん?」
「樹里くんの事情だから、勝手に義孝くんには話せない」
「…婚約者なのに?」
「話せない」
「何かやましい事でもある?」
「…どういう意味?」
「ん?」
「義孝くんは私の事を信じてるんだよね?」
「そうだよ信じてるよ。俺はね…でも、芽吹は話してくれないんだ?」
「誰にも言わないって約束したから…」
「そっか」

 俺がそう言って立ち上がると、芽吹は膝を寄せて三角座りになった。

 隣に並んで壁に寄りかかった俺の肩が触れると、芽吹は少し体を離す様にして左にずれた。