瞬く間に過ぎて行く日常こそが青春なんだ

 一方、芽吹は高校卒業後の進路に提出期限ギリギリまで悩んでいた。
 両親を早くに亡くし必死で大人になろうとするがあまり、まだ結婚できる年齢(とし)でもないのに婚活サイトに登録しようとした事もあったっけ…。

 じっくり向き合って話を聞いて、辿り着いたのが保育士への道。

 芽吹には人を癒やしたり幸せな気持ちにする力がある。
 優しくて明るくて前向きで真っ直ぐな性格は保育士に向いてると思う。
 将来の職場の大半が女性と幼い子供だけというのも俺的には安心でポイントが高い。

 芽吹はより多くの事を学ぶ為に四年制大学に進学し、多様な子供に対応できる様にと専門科目に力を入れて学んでいる。

 大学に入学してから習い始めたピアノも大分上達し、毎日弾きながら歌う練習を欠かさずやっている。
 いつも聴いているせいか、ふとした時に出る俺の鼻歌は童謡ばかりだ。

 2年の春と秋に一週間ずつ、それから昨年の春に二週間の幼稚園実習。
 夏には保育園、秋には施設に二週間ずつと実習が続いた。

 保育実習の中にも色々な種類があるらしく、日誌だの記録だの設定保育の準備だのと慌ただしい毎日に、実習期間の芽吹はいつも酷く疲弊していた。

 笑わない芽吹を見ると不安になる。

 本音を言っていいのであれば卒業後は働かず家にいて欲しい。
 しなくても良い苦労はして欲しくない。