瞬く間に過ぎて行く日常こそが青春なんだ

 1月の終わり頃、やっと会えた。
「中道くん」
「あぁ、久しぶり…」
「放課後、少し時間もらえないかな?」
「え?あぁ、わかった…」

 板垣芽吹は笑っていなかった。
 俺は授業中ずっとモヤモヤしたまま過ごした。

 HRの後、下の階に板垣芽吹を迎えに行った。
「板垣芽吹ー」
 俺の声で別の人まで振り返る。
 ザワザワする教室の中から板垣芽吹が走って出て来た。
「行こう」
 俺を置いて早足で階段を降りて行く。
「え?ちょっと…」

 少し先を歩く板垣芽吹が、駅までの道の途中で脇道に入って行った。
 そして人気(ひとけ)のない所まで来て立ち止まった。

 振り返り、ふぅー…と一息ついてから、 にっこり笑って言った。

「中道くん…好き()()()
「え…」
「今まで、ありがとう」
「何…何言ってんの?」
「私、学校やめる」
「は?」
「学校やめて、結婚する」
 板垣芽吹が笑ったまま涙を(こぼ)した。
「ふざけんなよ…」
 抱きしめた俺の事を強く抱きしめ返し、声を上げて泣き出した。
「おじいちゃん、死んじゃった…」
 掠れた声で言った。
「誰もいなく…」

「ごめん。ごめん‼︎側にいてやれなくて…」
 しっかりしなきゃと思うのに、ただ一緒になって泣いてるだけの俺。
「芽吹、どこにも行かないで」
「中道くん」
「俺がいるから」
「中道くん」
「俺が芽吹と一緒にいるから、だから…」