中道(なかみち)くん、あの…私5組の板垣(いたがき)芽吹(めぶき)と言います」
 俺は手を伸ばしてその先の言葉を遮った。

「告白とかだったら、言わなくていい。断る」

義孝(よしたか)‼︎お前ッ。言い方‼︎」

 確かに最低な言い方だ。
 だがしかし、俺はうんざりしていた。
 今日は入学式。1時間前、俺は舞台の上で新入生代表の挨拶をした。

 そして今、この推定150数センチのちんちくりんで六人目の告白だ。

『最低…信じらんない』
 そう言って怒った人二人、泣いた人三人。
 この人はどっちだろうか?
「…あぁ、ははッ」
 新しい反応だった。

 去って行く後ろ姿がさらに小さく見えた。

「義孝ぁー」
「悪いの俺⁈初対面よ?俺の事知りもしねぇで告って来てんだぜ?」
「…一目惚れ否定派だもんな。お前」
 呆れた顔で友哉(ともや)が言った。