嫌いなあいつが気になって

「手でも繋いで行くか?」

 声を弾ませて指を絡めてやる。すると、

「な、何言ってるんだよっ!!」

 ワタワタされて俺はグッと胸を押さえた。
 真っ赤になって慌てる宮部の反応がいちいち新鮮でクセになる。

「だって付き合うだろ?俺たち」

 一度息を吐き出して見つめてやると、

「え!?」

 目を見開く宮部。

「何でびっくりするんだよ。両想いなのに」

 その肩を抱いて笑うと、宮部はまた慌てて逃げようとした。

「そんな表立ってはちょっと……」
「へぇ……裏でならいいんだ?」

 もちろんそんな宮部を俺は離してやらない。

「は?」
「今日から夏休み。……しかも、これから一緒に住むってわかってるか?」

 ニヤリと笑うと、宮部は少しずつ後退る。

「怯えんな。大丈夫だっつの!うちは父さんが単身赴任で部屋は空いてるし」

 妥協案のつもりなのに、なぜまだそんな不安げな顔をしているのだろうか?
 こんな顔をされたら俺が折れるしかない気がする。

「……わかったから……ゆっくり……な?」

 姉ちゃんから『着いた』とメッセージが届いて、一度車の方を見てから宮部に向かって手招きをした。

「ほら、いいから帰るぞ!」

 そろりと窺うようにやってくる宮部にメガネをかけてやって俺は先に歩き出す。
 ためらいながらもやっと宮部が隣に並んでくれたのを見て、俺はただ幸せを噛み締めて微笑んだ。








 嫌いだったあいつと共に……!!

 もうこれからは安心して笑わせてやると心に誓って俺は公園を後にした。