嫌いなあいつが気になって

「……は?」

 顔を近づけた俺は狭い遊具の中で動きを止める。
 眉の寄った宮部の顔がよく見えなくて、俺は勢いよくその両腕を掴んで遊具から引っ張り出した。
 僅かにある照明の光がちょうど宮部の顔を照らす。
 俺の思い違いなんかではない。
 真っ赤になっているその顔を見て逃さぬように覗き込むと、宮部はワタワタと慌て出した。

「……なぁ」
「ち、違う」

 呼んだだけなのに否定してくるのは何なのか?

「まだ何も言ってねぇよ」

 それでも近づいていくと、宮部は必死に顔を背けた。
 こんなの……ここで引くわけにはいかない。

「……俺はお前が好きだけど、お前は……」
「違う!」

 ストレートに言うと、宮部はカブせる勢いで否定してくる。
 真っ赤な顔と正反対のその言動。

「へぇ……」
「ち……」

 好意を感知して耳に触れるギリギリまで近づくと、宮部はギュッと目を閉じる。

「宮部…………好きだ」

 宮部の腕は解放しないままその耳に直接囁くと、宮部はパッとこっちを向いた。
 そのメガネを外してやると、宮部はまたかなり照れて逃げようとする。

「……お前……俺のこと好きだろ?」

 真っ黒の澄んだその瞳を真っ直ぐ見て、やっと俺はしっかりと宮部の目に映った俺を見つけた。

「ち……」
「本当に違うか?」

 首を傾げながら顔を近づけると、バチンと思いっきり顔面を叩かれる。

「痛ってぇ……」

 ヒリヒリする顔を押さえて指の隙間から宮部を見ると、宮部は落ち着かずあちこち見てブツブツ言っていて俺は吹き出した。

「っし!帰るぞ!」

 グッと伸びをして宮部の手を掴むと、宮部はまた大袈裟に身体を跳ねさせる。

「キスは我慢するんだから手ぇ繋ぐくらいいいだろ?」
「き、きき……」

 噴火でもするのか?とも思うが、あまりにもその反応がキュンときてしまって、んっ、とキスをするフリをしてやった。

「だ、だからっ!違っ!!」

 パニックになったような宮部が単純にかわいいと思う。
 振り解こうとするその手に指をしっかり絡めて笑うと、宮部は俺の手ごとブンブンと振り回した。