嫌いなあいつが気になって

 うちに泊まった朝は一緒にバス停まで歩くが、ふと気づくと宮部はいつも俺から離れたところに居る。
 しかも、バスから降りるともう隣には来ない。

「おっはよー!」

 そんな俺の横に来るのは凛華や美空、由良、杏……とにかく女ばかり。

「琉生〜ぃ!今日は久々にカフェ行こうよ〜ぉ!」

 美空が腕にくっついてきてそっちを向くと、凛華も空いている俺の右横に来て軽く寄り添ってくる。

「だから、俺は勉きょ……」
「もう一学期も終わりだよ?テストもないし、後は夏休みじゃん!ちょっとくらい遊ぼ〜よぉ!」

 ギュッと押し付けられる美空の胸に確かに……いや、ちょっとだけドキッとはした。
 だが、違和感というか、少し前までのような高揚感がない。
 むしろ、下駄箱に居た宮部と目が合った気がしてちょっと気まずかった。
 見られた……よな?
 あいつはどう思っただろうか?

「そーだな……たまには」

 気になってしまうと、何となく今日は宮部と一緒に居るのは落ち着かない気がしてその誘いに乗ってみる。

「嬉しい」

 ホッとしたように笑う凛華と目が合ってやはり“かわいい”とは思うが、あの宮部の笑顔も思い出してその笑顔の方がドキドキした。だからか、

「ねぇ、琉生ぃ!あの委員長に何か弱みでも握られてんの?」
「は、はぁっ!?」

 美空が少し前を歩いていく宮部を指さして聞いてきたことに対して過剰に反応してしまう。

「怪し〜ぃ!」

 笑われて顔を背けたが、凛華と目が合って俺はヒクッと顔を引き攣らせた。