嫌いなあいつが気になって

 駅で凛華と分かれた俺はバス停に向かう気にはなれなくて来た道を戻っている。
 やっぱり見掛けたのは宮部だった気がして。
 またあいつが一人だけで何時間も勉強で時間を潰して自宅に帰れない時間を誤魔化すなんて、そんなことはさせたくなくて……気づいたら俺は走っていた。
 そして、あのファミレスに着いて、やはりぽつんと一人だけで座って教科書を開いている宮部を見つける。

「お前、さぁ……」

 すんなり言葉が出てこなくて、初めて俺は自分が息切れしていることに気づいた。

「……くそダセぇ」

 自分に向けて放った言葉だったが、宮部がビクッと身体を縮こまらせたのを見てやりきれない。

「タイム……な?」

 勝手に試合中のようにジェスチャーをして立ち上がると、店員にドリンクバーを頼んでそのままりんごジュースを持ってから席に戻った。
 一気に飲み干してグラスを置くと、じっと宮部を見る。

「……何で頼んねぇの?」
「へ?」

 眉を寄せたままためらうような宮部を見て、なぜか泣きそうな自分に気づいた。
 こいつにはどうしても感情が抑えきれない。
 不安そうな宮部を抱き締めたい衝動。
 男同士とかそんなものもふっ飛ばして、どうにかこいつを安心させてやりたいと思う。

「一人で抱えんなよ」

 堪えているのに目頭が熱くなってきた。

「あ、いや、でも……村瀬くんには関係な……」

 パタパタと戸惑うように両手を動かす宮部の手を俺はガッと掴む。

「うるせぇ!俺を頼れ!つってんの!」

 本当、どうして俺、こんな感情丸出しにして……しかも、泣いちゃってんだよ。