嫌いなあいつが気になって

 結局、凛華と美空といつも綺麗にまとめられたポニーテールの由良と俺でカフェに行ってお茶しながら話していたが、バイトに行く美空と今日も塾に行く由良とはしばらくして別行動になる。

「……琉生……腕組んだら、嫌?」
「は?何で?今までだって組んでただろ?」

 様子を窺うような凛華に言いながら腕を差し出すと、凛華は顔をほころばせてギュッとくっついてきた。

「……あと……ねぇ?……」

 言いかけたのに、言い淀む凛華。

「何?」
「…………あの先輩のどこがいいの?」
「はぁ?」

 しばらく沈黙が続いて珍しいと思ったら、突拍子もないことを言われて声が裏返る。

「めちゃくちゃ美人だし、何か色気あるし、あの人って生徒会書記のすっごい頭もいい人でしょー?完璧なのはわかるんだけど、琉生はその先輩のどこが……」
「マジか!!アキちゃん、凄ぇなっ!!」

 凛華が持っている腕にわずかに力を込めたのを感じながらも、知らなかったアキちゃんのハイスペックさに驚いてしまった。

「え?知らなかったの?」

 衝撃過ぎて、凛華のトーンが落ちたことにも気付かないほど。

「知らんよ。だって、買い物とか付き合ってって言われて一緒に出かけただけだぞ?」

 前を見て歩きながら笑うが、無反応な凛華が気になってそっちに目をやる。
 凛華は眉を寄せて黙り込み、しばらくしてそっとこっちを見た。
 思わず足を止めると、凛華は俺の腕から手を離して両手で俺の手を握る。

「琉生……好きなのってあの先輩じゃないの?」

 まっすぐ見てくるその目を俺は何となく見つめ返すことができない。