嫌いなあいつが気になって

 留年は嫌だが残って勉強も嫌。
 
「……どーする……?」

 机に両肘を付いてその組んだ拳に額を付けてため息を吐く。

「あれ?琉生(るい)、どーしたのー?」

 覚えのある声に顔を上げると、よく放課後に遊びに行く女、凛華(りんか)が俺の肩に触れてきた。

「俺、補充だってーぇ。ないわー」

 その白くて細い指に俺の指を絡めると凛華はくすくすと笑う。

「じゃあ、可哀想な琉生にパンあげよっかな〜ぁ!」
「マジ!?凛華、神か!」

 凛華の背中から出てきたカレーパンに食い付くと周りに居た女たちもチョコやアメを出してくれた。

「いーな。お前は」

 俺の隣に腰を下ろした中学から一緒の武野(たけの)がかばんから弁当を出すのを見て俺はもらったチョコを早速口にする。

「んー?今は女の子といっぱい遊んで毎日楽しく!それが最高ーでしょ!」
「刺されろ」
「琉生はこのチャラさがいーんだよねー!でも、童貞っ!!」
「安心、安全!だろ?チューはするけどなっ!」

 武野の流し目も凛華はキャッキャと笑って俺もにこにこと笑顔を振り撒いた。
 今を楽しく!
 この素晴らしき青春を満喫しないなんてバカじゃねぇかっ!!

 こんなみんなわいわいと笑い声をあげている昼の教室でも宮部は弁当を食べながら教科書なんて開いているのが見える。

「あり得ねぇ」
「ん?琉生、何ー?」
「なーんにも?」

 凛華ににこにこと笑いながら、俺は小さく舌打ちをした。