嫌いなあいつが気になって

「今日、お茶したらバイトあるし帰るね〜ぇ!」

 昼、美空の声が響いて、一緒に食べていた凛華はそれだけで全てを理解したかのように頷きながらペットボトルに口をつける。

「武っちも今日、野球部の練習ないんでしょ?一緒に遊ばない?」
「はー?お前らみたいにそんな金ねぇの!部活終わって何か買って食って、以上!そんなもんに金かけられるか!」

 美空が隣の席に居る武野に声をかけると、武野は面倒くさそうに言って伸びをした。

「うちらはバイト頑張ってるだけじゃんね〜?」

 美空が口を尖らせると、凛華は笑ってこっちを見る。

「琉生!久々に由良(ゆら)たちも誘ってどっか行く?それかまた二人でカラオケ付き合ってくれる?」

 前みたいにくっついてくるのは減ったけど、こうやって笑って話しかけてくる姿はやっぱりかわいいとは思った。
 でも、「美空もカラオケなら行きたかったなぁ」と髪を指に少し絡ませてため息を吐いた美空に目をやった時に、席でもう昼を食べ終えてまた勉強を始めている宮部が目に入ってつい“こっち向け”なんて思ってしまう。
 いっそ「お前もカフェ行くー?」って誘ってみるか?
 考えつつ周りの反応が容易に想像できてやめる。
 一切こっちを向く気配なんてなくて、ちょっと切なくなりながら再び凛華と美空に視線を戻すとそのままぼんやりと話を聞いた。
 これって……俺が凛華を好きになれば凛華と宮部が付き合うこともなくて……しかも、《《自然な男女のカタチ》》なのか?
 なんて思いながら。