嫌いなあいつが気になって

 翌朝、ほとんど寝られなくて完全に寝不足なのに、宮部を見るだけでドキドキしてあくびさえ出てこない。
 朝から恐縮しまくって、「すみません」と「ありがとうございます」を繰り返す宮部をチラッと横目で見つつ、俺は変な緊張で味もよくわからない朝食をかき込んだ。
 とりあえずは今まで通りを意識する。
 だが、同じバスに乗って一緒に歩いていても、宮部は気づくといつも少し後ろに居た。

「琉生ーっ!!おっはよーっ!!」

 走ってきた凛華が俺の腕にくっついてきて咄嗟に宮部を探す。
 見つけたあいつはこっちを見ることもなく横を通り過ぎて行った。
 少しも目が合わなかったことにショックを受けるが、あいつは振り返りもしない。

「琉生?どーしたの?」

 凛華に顔を覗き込まれて「いや!べっつにぃっ!」と笑うが、何か虚しい気がした。

「おはよう!」

 別の声がして振り返ると、そこに居たのはアキちゃんで少しスッキリしたようなその顔はちょっと安心もする。

「また付き合ってね!」
「どこへでも!」

 笑いながら、面倒くさいと思ってしまう自分も居た。
 俺、どうしちゃったんだよ。って思うのにテンションが上がらないことに笑えてくる。
 昨日の夕方まではいかに色んな女の子と遊ぶかばかり考えていたのに。

「ねぇ、琉生ー」

 絡めた腕を引かれて凛華を見ると、凛華はじっとこっちを見上げてきた。