嫌いなあいつが気になって

 一緒に飯を食って、遠慮する宮部を風呂場に案内して無理矢理俺の部屋着を渡して……。
 早々と電気を消してベッドに転がった俺は寝返りをうって床に敷いた布団に包まっている宮部の後ろ姿を見つめる。
 薄暗い部屋の中でその暗さに溶けて見失いそうな黒い髪。
 手を伸ばしたくなる衝動をグッと堪えた。
 武野とか男友達とは明らかに違う何か。
 今まで数えられないくらいの女の子と遊んで抱き締めてキスはしてきたのに……それとは違う不思議な感覚。
 宮部の存在を認めないようなあいつの親にやたらイラついて、守ってやりたいと思った。
 抱き締めてやらなきゃいけない気がした。男なのに。
 そして、抱き締めた時に身を任せてくれたのが嬉しかったし、離れていったのは寂しくてショックだった。
 柔らかさもないしっかりと骨張った、どう見たって男の宮部に対して。
 あれ?もしかして………………。
 一気に体温が上がった気がする。
 まさか……?
 身動きすることもない宮部の後ろ姿を見てその存在を確認するだけでなぜかドキドキと心臓がうるさい。
 嘘……だろ?
 嫌いだったって、俺……。
 思ってみても今、こっちに寝返りをうたないかな。なんて思っている自分が居ることに気づいた。
 好き……?
 ……マジ……で?
 何度も否定しても頭に浮かぶのは泣き出しそうな宮部で、そのまま手を伸ばしたくなる。
 すぐにペンを持つその手を引き寄せてあの目にしっかり俺をうつしたくなる。
 見つめて……また腕の中に来て欲しい。

 妙に落ち着かないまま夜は更けていった。