嫌いなあいつが気になって

 体育館の倉庫に入ってマットの上にしまってある毛布を広げてから転がると再び出てきたあくびをして目を閉じる。
 だが、すぐに重いそのドアが開かれる音がして俺は舌打ちをした。

「誰〜?」

 不機嫌なのを隠さずに上半身を起こすと、入ってきた女は口元に手を当ててこっちを見定めるようにジロジロと眺めてからテラテラ光る唇の端を上げる。

体育倉庫(ここ)を寝床にしてる一年が居るって本当だったんだねぇ」

 言いながら近づいてきた女を見上げて目を細めても女は短いスカートから覗く脚を床について微笑んだ。

「授業中ですよ?」
「キミもね」

 笑って女は俺の髪に触れてきてそれをやんわりと断る。

「あれ?こういうの興味ない?」
「楽しく遊ぶ以外はしないんです」

 はっきり断ってから俺は寝転がって女を視界から消した。

「生意気ー」

 それでも女が近づいて腕に触れてくるのを軽く身を捩って逃げる。
 それなのに唇を塞がれて、見えるのは伏せた目と不自然に整って綺麗にくるんと上がっている睫毛。

「……その気になった?」

 顔を上げて微笑む女を見て、俺はため息を吐いて体を起こしてから女を押し倒した。

「ははっ、いい目」
「先輩?俺は色んな女の子と遊びたいから彼女は作らないし、ハジメテはちゃんと好きな子がいいからキス以上はしないって決めてるんです!放課後ならショッピングでもカフェでもお付き合いしますよ?」

 今、特定の誰かと親密になる気はなくて見下ろしながら微笑むと女は笑い出す。
 
「何、キミ童貞?」
「だって今は気軽に楽しく遊びたいじゃないですか?」

 体を起こしてマットに尻を付けると、女は口を尖らせながら起き上がった。