お出掛け日和の土曜日。
　晴れて気分もいい中、俺は凛華の誘いに乗ってボーリングに出掛けた。
　女三人に男三人。
　適当にペアを作ってとにかく騒ぐ。

「琉生、めっちゃ下手じゃーんっ!!これ、勝てるんじゃない!?」

　投球直後の球がガーターに落ちて戯けると、凛華がペアの男の腕を掴んでピョンっと跳ねた。

「はぁー？まっ、二投目を見てから言えよっ！」

　球を持ってニヤリと笑うと、フッと短く息を吐いて足を踏み出す。
　右に少し曲がった球は曲線を描いてヘッドピンと次のピンの間のポケットに綺麗にハマった。
　ガコンッと音をたてて倒れたピンを見てペアになっていた女の子、美空(みく)が両手を挙げて飛び跳ねる。
　その両手にパチンと合わせると、抱きついてきたその小さな体をキュッと抱き締めた。

「カッコいーっ！」

　やっぱり女子は小さくて、いい感じの柔らかさで、かわいらしい。

「惚れるなよー？」
「わかってるよー！美空、好きな人居るしーぃ！」

　ウインクをしてやると、隣同士で座りながら渡されるペットボトルに口を付ける。
　いつもやるやり取り。
　なのにフと寂しい気がしたのは何故か。

「琉生ー？」

　指を絡められてそれを握り返しながら笑顔で会話に加わっていた俺は『村瀬くんだって、結局僕と同じで一人なんじゃないの？』そう言った宮部のあの目を思い出して言葉を飲み込む。
　パッと顔を上げると、「まだ帰れない」と言ったあの声が耳に蘇って立ち上がった。

「どーしたのーぉ？」

　かわいい女の子に顔を覗き込まれて微笑みを返しても、頭に浮かぶのは宮部の寂しそうな顔ばかり。
　あれから日にちはだいぶ経ったのにどうしても消えない。
　この場を盛り上げようとテンションを上げるものの、なぜか気分はどんどん沈んで虚しくなるばかりだった。