嫌いなあいつが気になって

 ドリンク片手にテーブルに戻ると一気に半分くらい飲んで宮部に目をやる。
 席に座って宮部も少し口をつけると視線に気づいて、宮部はグラスを持ったまま窺うようにこっちを見た。

「な、何?」

 この少し怯えたような反応はちょっと初々しくていいかもしれない。

「いや、カタブツの恋はどーなったかなぁって」

 足を組んでニヤリと笑ってやると、

「はぁっ⁉だ、だから、それ……は……」

 聞いただけなのに、またグラスを倒しそうになるほど慌てていて笑いが込み上げる。

「いーじゃん!恋バナしよーぜぇっ!」

 テーブルに肘を付いて誘うと、宮部はフルフルと首を横に振った。

「えー?うーん……なら、俺からな!まっ、俺は女の子は好きだけどさぁ……彼女は作りたくないんだよなぁ」

 それならば、と俺がいつも女に言っていることを口にする。

「え?……澤部(さわべ)さん、と付き合ってるんじゃ……?」

 グッと伸びをすると、宮部はきょとんとして首を傾げた。

「んー?いーや?凛華は友達ぃ!」
「しょっちゅう抱きついたり、その……キ……」

 言いながら赤くなっていくその反応が堪らない。

「童貞かよ」

 笑うと、宮部はギュッと縮こまる。だが、

「俺もっ!」

 ニッと笑うと、宮部は目をパチパチとしながら顔を上げた。

「色んな女の子と遊びたいから彼女は作らないし、ハジメテはちゃんと好きな子がいいからキス以上はしない!これ、俺のポリシー!」
「いや、意味がわからないというか……」

 せっかくネクタイをキッチリ締めて決めたのに、宮部は思いっきり眉を寄せる。

「遊ぶけど付き合わない!キスはするけど一線は超えない!俺の周りに居る女の子たちはみんなそれを了承済みで今を楽しむメンバーなワケよ!」

 丁寧に説明しても宮部は理解できないのか思うような反応をしなかった。