嫌いなあいつが気になって

「そんな見つめられると照れるんだけど?」
「なっ!!」

 茶化してやると、宮部はパッと赤くなって顔を背ける。
 その反応がおもしろくてククッと笑ってしまうと、宮部はメガネのブリッジを上げて勢いよくグラスに氷を入れて慣れたようにコーラを注いだ。
 シュワッと泡が立って一気にグラスから溢れる寸前になる。
 それを宮部はギリギリで止めて泡が収まるのを待ってからまた注ぎ足した。

「意外だな」

 宮部のイメージではないドリンクのチョイスに思わず声が出る。

「は?」

 やらかした?と伺うような反応がまたおもしろかった。

「お前はコーヒーかと思った」

 しかも、ホットのブラックコーヒーを静かに飲んでいそうなのに違うらしい。
 麦茶とか緑茶とか……そんなのも選びそうなのにあんなガッツリの炭酸だなんて意外過ぎる。
 しかも、注ぎ方は完全に手慣れていた。
 相当このドリンクバーも利用していて、いつもそのコーラを飲んでいるのだろう。

「む、村瀬くんこそ。りんごジュースなんて……」

 ちょっと口を尖らせていてその姿はかわいい気もした。

「俺、炭酸飲めねぇんだよ」
「えっ!?」

 大袈裟なリアクションに目を細めると、宮部は肩を竦める。

「かわいいだろ?」
「なっ、何でだよ!!」

 その肩に手を付いて近付くと、宮部はワタワタして視線を彷徨わせた。

「溢れんぞ」

 その姿が楽し過ぎる。

「だ、誰のせいだよっ!!」

 たぶんお互いのイメージではないジュース。
 それを持って俺たちは初めて二人で笑い合った。