嫌いなあいつが気になって

 向かいにいる宮部をただ見つめる。
 それに耐えられないのか、宮部はソワソワして、こっちを見るとまたパッと目を逸らした。
 怯えているとかビビっているわけではなさそうだが、一体何なのか?

「……俺、お前のこと嫌いだったんだけどさぁ」

 不意に口を開くと、宮部はまたビクッと跳ねてそろりと躊躇いがちにこっちを見る。

「ズバっと言うね」
「んー?」

 気を遣って言葉を選ぶなんてできない俺はあくびを噛み殺した。

「いや……こんな面と向かって……」

 ショックを受けているのはわかる。
 だが、そんなのは俺の知ったことじゃない。

「あー、一応悪意?とかじゃねぇよ?単純に勉強ばっかしていつも俺らのこと見下してんのかなぁ?って思ってただけだし」

 言いつつメニューを手に取って呼び鈴を鳴らした。
 注文を終えてメニューを戻すと、胸を押さえて固まっている宮部が目に入る。

「ん?どーした?」
「……クラスでも……僕はやっぱり嫌われているよね」
「は?」

 ペンを手にすることもなくじっと膝を握ったまま動かない宮部。
 ちょっと面倒くさい。
 でも、こうしたのは……俺か?

「……なぁっ!ドリンクバー行くぞっ!」
「え!?あ、ちょっと待って!!わぁっ!!」

 立ち上がってその腕を引くと、宮部は慌てて机の上のグラスに引っ掛かる。
 そのグラスが倒れる前に俺の手でキャッチすると、僅かに残っていた茶色が薄まって微妙な水になっているそれを持って宮部を引っ張った。
 近くに居た店員にそれを下げてもらって新しいグラスをそのまま宮部に持たせるとドリンクコーナーを見つめる。
 りんごジュースを注ぎながらいつまでも動かない宮部を振り返ると、宮部は軽く息を詰めた。