嫌いなあいつが気になって

「……ウケんな」

 テーブルに頬杖を付いて口を開くと、宮部はよくわからなさそうに首を傾げる。

「う、うけ……?」

 こいつにもわからないことがあるのは少しおもしろい。

「お前と俺がこんなファミレスで同じテーブルに居るなんてあり得ねぇだろ?これはもうおもしろくね?」

 そのまま少し声を出して笑うと、宮部はキョロキョロと周りを見た。

「あ?どーしたんだよ?」

 そのよくわからない行動について聞いてみると、宮部は身を縮めてカチャとメガネを押し上げる。

「いや、だって……誰かに見られたら……よくないだろう?」

 それまでは笑えてきて何か楽しい気もしたのに、隠れるようなその様子にちょっとイラッとしてしまった。

「はぁ?俺と一緒なのがよくねぇってか?」

 イラつきは思った以上に低い声となる。

「いや、そういうわけじゃ……」

 睨むと宮部は慌てて身を起こした。

「優等生様だもんな!こんな出来損ないと一緒で評価下がったらマズいもんな!」

 それでも我慢できずにガンとテーブルを蹴ると、宮部はビクッと体を震わせる。

「悪かったな!邪魔してよ」

 イライラが抑えられなくてテーブルも殴るように立ち上がった。
 こんなことはしょっちゅう言われてきたのに、なぜか冷静に対処できない。
 何かバカにされたようで、見下された気にもなってムカムカした。

「や、違うんだ!ごめん!」

 慌てたような宮部に言われても睨んでしまう。

「は?もーいわ。二度と喋ることねぇだろーし消えてやる……」

 背を向けて去ろうとした俺のシャツが引っ張られて足を止めた。
 驚くほどの力でしっかりと握られていて無視して歩き出そうとしても動かない。

「……お前、何なの?」

 とりあえず振り返って聞いてみると、宮部は思いっきり眉尻を下げてこっちを見上げた。

「ごめ……ごめん、なさい」

 なぜこんなにも泣きそうなのか?

「……」

 俺が泣かせたみたいでちょっと複雑な気もする。

「村瀬くんは人気者だから、僕と一緒なんて……申し訳なくて……」

 しかも、思ったのとは違った言葉が聞こえてきて、俺は髪をガシガシと掻いて再びイスに座った。