嫌いなあいつが気になって

 高一ももう終わりの見えてきた三月。
 俺は未だに理解できないというか、目にも入れたくない奴が居る。
 いつも自ら教卓の目の前なんて厄介な席を希望し、分厚いメガネをかけて休み時間だろうが教科書を開いている男。
 正直、見ているだけでムカつく。





 入学したあの日、面倒でうんざりした受験も終わってやっと自由を手にしたのに、クラスに入った瞬間から勉強しいる姿を見てウザ過ぎてしゃべりたくないと思った。
 なのに、そいつはイラつくことに宮部(みやべ)村瀬(むらせ)で番号順だといつも俺の前に居た。
 そこまで勉強する理由って何だ?
 そんなに勉強したけりゃ、もっと頭のいい学校に行けばいいのに。
 つか、バカにしてんのか?「俺はもう二年後の受験に向けて準備してます」ってか?
 マジ、ウゼぇ。



 結局、約一年経ってもあいつは勉強をし続け、イラつく俺はもう姿を見ないように前は向かない。
 窓際の一番後ろであくびを噛み殺すこともせずに、堂々と大きく口を開けて日差しだけは暖かいそこで机に頬を付けて脱力した。
 机の上にはとりあえず教科書だけ出してある。
 授業が始まっても教師ももう何も言わなくなったから、俺はただ静かにムカつくあいつが見えないように目を閉じた。