私はふと壁に貼っていた一年の暦を見て、そういえばと思い出した。

 あ。クロードの誕生日が、もうすぐだ……けど、本人は何も言わない。

 ……ううん。誕生日のお祝いなんて、本人から言い出すような話ではないものね。

 幼い頃のクロードのこと、学校に行って、その行事で勇者の剣を抜いてしまった。

 それからは冒険の旅に出ることになり、怒濤の毎日の中で、一年前に魔王打倒することが出来た……と。

 となると……自分の誕生日を祝うなんて、気にすることが出来なかったのではないかしら?

 そもそも、彼は誕生日を祝うこと自体忘れていそうだわ……。

 もし……私がお祝いしたら、喜んでくれるかしら?

「シュゼット」

「わ! 何? 何か用?」

 心配そうなクロードに不意に呼びかけられて、私は慌ててしまった。

「いや、そろそろ夕飯を食べないかと思って」

「あ……ごめんなさい。待たせてしまっていたのね」

 夕飯は既にテーブルの上に置かれているので、ただ私を待っていただけのようだった。