いま目にしたことをそのままを言えば、クロードはベネディクトに対し、とても酷いことをしていると思う。

 けれど……私の知っているクロードは、こんな人ではなかった。

 何かこうなる要因があるのかもしれない。

「あの……クロード。あんなに優しかった貴方が、こんなに横暴なことをしてしまうなんて、何か理由があったの?」

「出来るだけ早く、シュゼットを探しに行きたかったんだ。誰かの気持ちを慮(おもんばか)るという大事さはわかっているつもりだけど、そこに掛ける時間が惜しかったんだ」

「クロード……」

 ……確かに私たちは、ちゃんとしたお別れも出来ずに別れることになってしまった。

「……シュゼットを探すまではそういう理由だったけど、こうして探し当てたから、あれはあまり良くなかったな。ベネディクトを呼び出す時は、予告するようにするよ」

 そうやって反省したように言ったので、私はこれ以上何も言えなくなった。

 彼の前から居なくなった私にも、原因の一端はあると思えたから。

「ふふ。そうして。食事中に呼び出すなんて、可哀想だわ」

「わかった」

 その言葉とは裏腹に、あまりわかって居なさそうな表情のクロードは肩を竦めた。