そういえば、任せられた執事見習いの仕事自体は、前に言っていた分身がやっているだろうし……クロードはもし、誰かに見られたとしても不審人物ではなくて、執事見習いが居る程度にしか見られない。

 だから、すぐにここへ職を求めたのね。私の傍に居ようと思ったら、そうするのが一番早いもの。

 私はとりあえず掃除道具を片付けようと、箒を持って外へ出ようとした。

 ここまでしてくれて……嬉しいか嬉しくないかで言えば、とても嬉しい……嬉しいけど、クロードは……。

 また考え事をしていたせいか、私は外に出るために小さな階段を踏み外した。

 そこへ、私の身体を支えてくれた太い腕。

 それが、誰のものかすぐにわかって、私は顔を上げた。

「危ない! シュゼット。何考えてるんだ?」

 足場台を届けて帰って来たクロードは、いつになく怒っているようだった。こんなに短時間で二度もこんな風に危険なことになっていたら、当然のことかもしれないけれど。

「あ……クロードのこと」

 その時、真剣な顔をしていたクロードの顔はみるみる赤くなった。

 わ、私も……思っていたこと、そのまま言ってしまった……恥ずかしい。

「えっ……ごめん。強く言いすぎた」

 顔を片手で覆ったクロードは、また私の持っていた箒を持って、掃除用具置き場へと向かっていた。

 そんな姿を見て思った。ここで……それを何処にしまうべきか、聞かなくてもちゃんとわかっているってことは、私のこと本当に良く見てくれていたんだ……。