「クロード」

 私は扉を開けて室内へと入って来たクロードを見て、彼の名前を呼んだ。

「ああ……ただいま。シュゼット」

 クロードは道中で何か買い物でもして来たのか、紙袋を机の上に置いた。

「あの……何か、私に……言うことないの?」

 何をどう言えば良いかわからず、私は彼へと尋ねた。クロードは不思議そうな表情を浮かべていた。

「何が? 俺がシュゼットに言いたいことは、仕事辞めて俺と暮らそうってことだけど」

「違う……ほら、何か、変わったこととか……」

「? 別に……何もないけど」

 クロードは私の質問に首を傾げて答えた。そして、私はそれ以上は何も言えずに、浴室へと移動した。