「ええ……何か思いついたら、貴方を呼ぶことにするわ」

 胸に手を当てて使命感いっぱいの目を向けたギャビンに、私は苦笑いするしかない。だって、クロードがやらないと言っているものを、どうにかさせる方法なんて思いつかないもの。

「あ。噂をすれば……ですね。僕はクロードを説得に行って来ます!」

 道にはクロードの姿が見えて、ギャビンは彼に向かって素早く舞い降りて行った。

 とは言っても、ギャビンの必死の訴えを一応は聞く姿勢を見せてはいるものの、うるさげに右手を振るクロードを見れば勝算は少なそうだわ……。

 案の定、ギャビンはしょんぼりして、力なく翼を動かして飛び去って行った。

 持つ者は持たざる者に施しを与えるべきだと、ギャビンが何を言いたいかはわかるけれど、何をするか何をしないかはクロード本人が選ぶことだものね……。

「……え?」

 ギャビンとは入れ替わりに、そこに現れたのは……フードを被った一人の女性。誰かしら?

 ひと目見れば目を引くほどに、とても美しい女性だった。遠慮がちにクロードに何かを話しているけれど、クロードは両腕を組んで仕方なさそうな表情を浮かべていた。