「いえ。僕は世界救済の時に案内人として選ばれました。それは、名誉なことです。僕は翼猫の中でもっとも優秀だと選ばれた、そういうことですから。そういった権威ある立場で、民を束ねる王より困りごとがあると頼まれれば、聞くしかありません」

「え? ……ええ。そうね」

 芝居がかった仕草のギャビンは、自分がどれほど困っているかを訴えたいようだ。

「クロードには、とある大臣の不正を暴くように、頼みたいのです。彼は勇者として様々な能力を発現させ、精霊だって使役出来ます。クロード・レムシャイトは世界最強の男と言っても過言ではありません。それを、世のため人のために、役立てて欲しいのです……!」

「それは……確かに、そうね」

 勇者として様々な能力を与えられているのだから、それを世の中のために役立てて欲しいというのは、当然のことなのかもしれない。

「シュゼット。僕は今夜もあいつに頼むつもりですけどね……また、何か良い方法があったら、教えて下さい。クロードを後世も伝説に残るような、良き勇者にしたいのです! 僕が彼の案内人になったからには……」