いえいえ。私だってその単語の意味は知っているのだけれど、今ここでそれが出て来る意味が、すぐに理解することが出来なくて。

「ああ。俺の分身だよ。俺ではないけど、俺の役割を果たすんだ。自発的な行動は出来ないけど、先んじて行動を指定しておけば、言葉での簡単な指示なら勝手に動く。本来ならば魔物と戦っている時に囮(デコイ)として使うんだけど、こういう時にだって使えるから」

「そっ……そうなんだ……」

 すごい。勇者って色々なことが出来過ぎて……魔法も使えない私は、もうため息をつくしかなかった。

 それと同時に、この前に翼猫ギャビンが懸命に訴えていたことだって、理解出来るような気がする。

 クロードにはここまでの事が出来るのだから、それは出来れば人助けなどに役立てるべきで、使わずに眠らせておくべきではないと……そう言いたかったのよね。

 私もそう思うわ。クロードにしか出来ないことが、この世界にはたくさんあると思うもの。

「ねえ。シュゼット……これ、全部洗うの?」

 クロードは浸け置きのために、大きな槽に入れた汚れた布を指さした。