「……あの、クロード……|執事見習い(ホールボーイ)の仕事は、忙しいって聞いているけれどここに居て大丈夫なの?」

 使用人として一番大変で下積みの執事見習いは、執事から何かを指示されればすぐに動くしかなく、慣れない働き始めに辞めてしまう人だって多かった。

 逆にそこさえ耐えられれば、もっと楽で簡単な仕事だって任せられると判断されることになるのだ。

 今日、執事見習いとして雇われることになったクロードだって、こんな場所で私とのんびりしていることなんて出来ないはずなのに。

「今は俺の仕事は、分身にやってもらっている。一日の中で邸内では何をすれば良いかはもう理解したから、指示を受ければ適当に仕事するはずだよ。だから、ここに居ても平気。仕事はしているし」

 クロードにさらりとここに居る理由を告げられ、私は驚きで大きく目を見開いた。

 ……分身? クロードの分身?

「え? あの……クロードの分身って、一体どういうことなの?」

 普段あまり使うことのない単語を聞いて、私は戸惑っていた。