「なっ……お前……今日入った新入りか? シュゼットと知り合いだったのか……」

 ドレイクはクロードに睨み付けられて、どうにか虚勢を張ろうにも声が震えてしまっていた。

 ……それはそうよ。大型魔物だって単体で倒せることの勇者に、戦闘の心得もなさそうな一介の従者が敵うはずなんてないもの。

 私は大きく、息を吐いた。

 さっき彼のしたことは許し難いしドレイクのことは好きではないけれど、勇者の怒りを買って亡くなれば悲しいし、クロードに殺人者になって欲しい訳ではないもの。

「ええ。彼とは実は、故郷が同じで幼馴染みなの……ねえ。ドレイク、そろそろ行った方が良くないかしら?」

 ただの従者ドレイクが浴びるには、勇者クロードが放つ覇気は、あまりにも強烈過ぎたらしい。

 ……というか、隣にいるクロードは殺気立って居て、ただの従者であるドレイクはいつ何があってもおかしくはないほどだった。

 とても恐ろしいことに、クロードは彼がそうしようと思えば、数秒かからずに出来てしまう。

「あっ……ああ。またな。シュゼット」