お呼び出しを申し上げます。お客様の中に世界を救ってくださった勇者様はいらっしゃいませんか?

「シュゼット! おかえり。別の仕事は、どうだった?」

「ドレイク……夜中の通信は、もう止めて貰える? 深夜に起こされるのも、迷惑だわ」

 ドレイクは金髪碧眼の従者(ヴァレット)で主人の傍に居る事が仕事だ。見目も良く、口も上手い。メイドとして雇ってもらったばかりの私に言い寄って、付き合ったばかりなのに浮気した。そして、別れた。

 別れたのはもう一年以上前なのに、ああしてまだ連絡して来たりするのだ。距離の詰め方が上手いのだけれど、それは女の子を軽く見ているからと今では理解した。

 つまり、ドレイクはただの女の敵よ。