お呼び出しを申し上げます。お客様の中に世界を救ってくださった勇者様はいらっしゃいませんか?

 クロードの言いようを聞いて、私は驚いてしまった。だって、パーティーから追放したのに、頼み事が出来るって、一体どういうことなの?

「俺が一人ですべて魔王を倒すっていう大仕事をこなしたってことだから、感謝しているメンバーも居るよ。その一人が、神官。たまに呼びだして、怪我を治してもらう。俺も回復魔法は使えるけど、あまり得意ではないから」

「たまに、呼びだして……怪我の回復をさせるの? それだけのために?」

 勇者クロードのあまりの傍若無人振りに、私はぽかんとしてしまった。

「そうだよ。野宿前提の長旅もしなくて良いし、たまに呼び出されて回復魔法掛ける程度、別に大したことないと思うけど」

「そっ……そうなんだ」

 呼び出して、たまに回復させるためだけの関係ですって……自分勝手過ぎるわ。

 全く想像つかないけれど、私も一緒に遊んで過ごして居た頃には、あんなに可愛くて優しい天使クロードだったのに……時は人を変えるんだわ。本当に残酷。

 私は掃除担当のメイドで持ち場に行かなければいけないので、これから執事見習いとして時を過ごすクロードに手を振って別れた。