次の日。

 私とクロードはノディウ王国の王都で、観光をすることにした。

 ……今思うと観光なんて、する暇もお金もなかった。私は家出してこの国に来て、生きて行くために仕事をして必死だった。

 だから、なんだか目に入るもの全部が新鮮で……王都に住んでいないクロードよりも、よっぽど、ここに住んで居る私の方が観光客に見えるかもしれない。

「……そんなに可愛くて、大丈夫? 道行く人に、可愛いで目に暴力を振るってないか?」

 私はクロードの言葉を聞いて、はあっと大きくため息をついた。

 クロードが私のことを、好きで居る理由も知っている。嘘のつけない彼に、何も知らない私が約束させたから。

 ……けど、自分でも思う。鏡で見る私って、そう悪くはないと自分では思うけれど……クロードのような美男に両手を挙げて口説かれるような、世にも稀な美女……という訳ではないもの。

「ねえ。クロード。私の……どこが好きなの?」

 約束する前から、クロードは私のことを好きで居てくれたと思う。けれど、私はもう……あの時の私ではない。

 貴族令嬢でもないし、よく手入れされた髪も肌も持っていない。貴族の身分を捨てた、ただの平民の女の子。