「せっかくこうして、一人でも生きていけるようになったの……だから、私を好きだと言うなら、今の私を理解して欲しいの……一方的に欲求を押し付けないで……私のことも、わかって欲しいの」

「ごめん。確かに……俺が悪かった。泣かないで」

 その時に、私は自分の頬に触れて、そこに涙が走っていると気が付いた。

「クロード」

「悪かった。急ぎすぎた……再会して間もないから、シュゼットがそう思うのも無理はない。ごめん」

 クロードはちゃんと謝ってくれた。彼のこれまでの話を聞けば、ドレイクとの関係を聞いて嫉妬してしまうことだって考えられる。

 けれど、私は今の仕事を手放すことに、どうしても抵抗があった。

 一人でお金を稼いで、一人でも生きていける……そう思うことで、自分の中にある土台を必死に積み上げて来たからだ。

 ……お金がなければ、暮らせない。

 お腹がすいているのに食べる物も買えないなんて、あんなみじめな思いは、もう二度と味わいたくなかった。