そうなのだ。なんならドレイクはキスすらする前に、私を裏切り、同僚の一人とそういうことをしていた。

 ドレイクは世慣れしていて頼りになる人だし、一人で生きて行くなんて難しいとは感じていた。

 けれど、そんな場面を見せられてしまったら、いくら謝罪されても、絶対に許せなかったのだ。

「言っただろう。シュゼット。もう仕事なんて、する必要はない。その男とも、会う必要もない」

 クロードは怖い顔をしている。けれど、私にだって守りたいプライドがあった。

「私は……私は、仕事を辞めるのが嫌なの! もう……一人では何も出来ないって、そうなってしまうのが絶対に嫌なの!」

「シュゼット」

「やっと手に入れた、私の仕事なの! そんな私のことが嫌なら、もうここから出ていって!」

 やっとの思いで就くことの出来た仕事を、自分がお金を出すから簡単に放り出せと言われてしまい、私はどうしても嫌だった。

「……ごめん」

 ドレイクに嫉妬したことを隠さなかったクロードは我に返ったのか、悲しそうな表情になった。