「そう? 一人の方が気楽って、シュゼットも言ったと思うけど」

 それは、一人暮らしだと気が使わなくて楽だし、一人分だけ稼いでいればなんとかなる……そういうつもりで言ったんだけど……クロードとはあまりにも意味は違い過ぎるわ。

「……そうね。それは、否定しないけど……っ」

 不意に、通信機の音が鳴り響いた。

 これはローレンス侯爵家で貸与されるもので、少量とは言え通信魔法に魔石を使うため、とても高価な物だ。

 私は旅に出る時は必要ないと置いて行ったので、久しぶりに聞く呼び出し音だった。

「もーっ……こんな真夜中に」

 きっと……あの人だろうなと思う。これまでに何度もあったことで、私はそれに何度も出て居るんだから。

「はい」

『シュゼット! 元気にしているのか? そろそろ仕事に戻ってくるんだろう?』

 私は仕事を掛け持ちしているけれど、もうひとつの雇い主が期間限定を望んでいて、その人とローレンス侯爵は懇意であるという……設定。

「ええ。ドレイク。夜中に電話しないでよ。驚いたわ」