私が微笑んで許可を出せば、クロードはしみじみとした口調で言った。

「何を言ってるの? クロードは、幼なじみでしょ!」

「うん。それは、まあね。間違いないね」

 クロードは寝袋を調整しはじめたので、私はテーブルの上に食事を並べることにした。

 私はベッドの上、クロードは小さな椅子に腰掛けて、晩ご飯を食べる。

「美味しい……ありがとう。クロード。飛空挺に乗っている時の食費は出してもらえるけど、普段の生活でなかなかこんな物食べられないもの」

 肉汁たっぷりのサンドイッチにかぶりつく私を見て、クロードはしみじみして言った。

「なんだか……変わったね。前は、どこからどう見ても、育ちの良いお嬢様だったけど」

 お嬢様は手掴みで食事することなんて、絶対にありえない。それは、クロードの言う通り。

「変わらなければ、生きられなかったのよ。仕方ないわ」

「そっか……これまで、大変だったね」

 クロードは窓の外に目を向けて、そう言った。赤い夕日が沈む。もうすぐ、本格的な夜がやって来る。

「一人で生きるって、快適よ……」

「そっか」

 詳しいことを知りたいだろうクロードは、私の話を聞いて相づちを打ってくれるばかりになり、それからは何も聞かなかった。