大きな紙袋を手にして戻って来たクロードは、私の着替えた姿を見て頷いた。

「クロード! お帰りなさい」

「うん。何でも食べたいもの選んで」

「まあ! ありがとう……何にしようかしら」

 私は彼に渡された食料一杯の紙袋を覗き込んだ。

 お金のない私には縁のなかったご馳走ばかりで、とても美味しそう。

「……シュゼット。泊まって良い?」

「え? けれど、眠る場所ないわ。クロード。宿屋の方が良くないかしら」

 私は部屋の中を見回したけれど、ベッドはひとつしかないのだ。それも、クロードのような身体が大きな人が使うようなベッドではない。

「いや、俺は床で良いよ」

「床は駄目よ」

「シュゼットが寝心地を心配しているんなら、俺はどこでも眠れそうな寝袋出せるんだよね。ほら」

 クロードは『どこか』へ手を伸ばし、次の瞬間、寝袋は床に落ちていた。

 寝袋は驚くほどふかふかとしていて、なんなら、私のベッドよりも寝心地良さそう。

「まあ……すごいわ。クロード。それなら、別にここに居ても良いわよ。眠る場所さえ大丈夫なら」

「よくこれで、今まで……無事だったね。驚くよ。シュゼット」