「え! そうなの? 知らなかったわ」

「ああ……知らなかったんだ。俺は君を探して真っ先に行ったんだ。だが、探し回って辿り付いた親戚の邸で務めていた使用人によると、君は預けられてすぐに家出したらしいと聞いた」

「そうだったのね。あの、叔父様と叔母様は、ご無事だったの?」

 クロードはそこで、黙ったままで首を横に振った。よくしてくれた彼らの死を悟り、私は胸に手を置いた。

 叔父様と叔母様が、天国で心安らかにいられますように。

 彼らのことが、嫌だった訳ではない。私が家出した理由は……両親との確執だった。

 どうしても、これ以上、一緒に居たくなかった。

 ……あんな事を、聞きたくはなかった。

「……なんで、シュゼットは、家出をしようとしたの? ……帰らないの」

 そうか……そういえば、クロードは家出の理由を知らないかもしれない。

「……知ってるでしょう。お父様が騙されて家が没落してしまって、私は親戚に預けられたんだけど……そこで、折り合いが悪くて、家出したの」