そして、俺の名前を呼んでいる。

――――どうか、私を助けて……と。

 やっと見つけ出したシュゼットは、驚くほどあっけらかんとしていた。彼女が心配で眠れない日々が、今では笑い話になった。

 シュゼットの雇い主は俺に言わせると、貴族令嬢だった彼女を利用するために、メイドとして雇ったように思われる。おそらくそういう部分を利用したかったのだろう。

 ……とにかく、シュゼットは無事なのだ。時間を掛けてわかって貰うしかない。

 俺に養われることを嫌がるのは、彼女がこれまで、どれだけ気を張って生きて来たかが理解出来る。

 そのおかげで、彼女はたった一人でも生きて来られたのだ。それを頭ごなしには否定したくはない。

 気が強い癖に泣き虫で、やると決めたことは諦めなかった。

 俺はそういうシュゼットが好きで、これからもずっと、変わらずに好きなのだろう。