「……クロード。クロード。早く来て!」

「待って。シュゼット。前を見て走らないと、転んじゃうよ!」

「わ!」

 シュゼットは足を引っかけ見事に転倒し、追いついた僕はすんでのところで彼女の腰を持って、地面に身体を打ち付けるところまでは防げた。

「ほら!」

「うふふ。ごめんなさい! けど、クロードが居たから、大丈夫でしょう?」

 シュゼットは僕が怒った表情を見せても、楽しげに笑うだけだ。

「……それは、そうなんだけど、あぶないよ」

「だから、大丈夫なの。一緒に居たら、私はあぶなくないもん。ずっと私のそばに居てね。大好きよ。クロード」

 僕だけに見せる、無邪気で可愛い笑顔。

 クロードのことが好きだと、子どもらしい独占欲を出せば、それがとても嬉しかったのを覚えている。

 離れるはずはないと思って居た。同じ邸に住み、毎日会って遊んでいる。