「……ん? クロード。こちらの|ご令嬢(レディ)は?」

「シュゼットだ。シュゼット。こちらは、翼猫のギャビン。俺が勇者としての役目を与えられた時に、勇者を導く案内人として選ばれた魔獣」

「はっ……はじめまして。シュゼット・フィニアンです……」

 クロードから紹介を受けた私は、条件反射で挨拶して自己紹介をした。

 ギャビンは私をまじまじと見て、綺麗な青色をした目を見開き、器用に頭を下げた。

「僕はギャビンです。勇者パーティを迷わぬように導く役目を持つ。それは、代々違う魔獣が順繰りに選ばれるのですが、今回は翼猫の番で、その中で一番に優秀な僕が選ばれたんです」

 柔らかそうな毛がふわふわな胸を反らした誇らしげにギャビンに、クロードは胡乱げな眼差しで見つめた。

「いや……だから、何の用? 俺は勇者として魔王を打ち倒し、すべての役目を終えただろう」

 嫌そうな表情のクロードに、ギャビンは器用に肩を竦めた。

「何を言うんです。クロード。勇者たる者、民が助けを求めれば、応えるべきだと思いますよ」