飛空挺は主に貴族が使うと言っても、私が使うここは一番グレードの低い三等室。

 あまり広くなく、眠るためのベッドと小さな机と椅子があるだけ。

 これでも、平民の稼ぐ賃金三ヶ月分はするような、高価な船室なのだ。

 勇者であるクロードはここよりも高い部屋を使用しているだろうし、私の部屋の内部がどういう造りになっているのかが気になったんだろう。

「ああ……これは、まだ言ってなかったわね。もう既に届けた後なの。私はもう届け先から、手紙を貰って帰るだけなのよ」

 私は今、隣国から往復をしていて、帰る復路なのだ。

 私は何も書かれていない蝋で封をされた大きな封筒を、クロードに振って見せた。

「……それだけ? 名前も書いていないけど……」

「それだけよ。そして、これを雇い主に渡せば、私の仕事は完了なの」

「……ふーん。まともな取引なら、宛名くらいあると思うし、俺は怪しすぎると思うけど」

 クロードは私の持っていた固い紙で出来た封筒を取り上げて、灯りに透かすようにした。

 何をするのかと慌てて背伸びした私は、彼から封筒を取り上げる。